SSブログ

山田和樹 マーラー・ツィクルス(第1回) [音楽]

ストラスブールにいるころは、平日に時々オーケストラのコンサートに足を運んでいました。指揮なんて棒を振っているだけだと思う人もいるようですが、同じオーケストラの音楽を何度も何度も聞いていると、やっぱり指揮者によって、あるいは共演者によって熱の入り方やまとまり具合が違うのがよくわかります。

そういう風にハッとした指揮者の一人が、山田和樹氏でした。あの時は、ストラスブールに日本人の指揮者が来るなんて珍しい、という理由でチケットを買ったのです。彼はまだ30歳すぎで、ひょこひょこと歩く若く小柄な日本人指揮者だ、と思いました。しかし!ブザンソンのコンクールで優勝した経歴や、世界の小澤征爾にも認められたというだけあって、いつもと違う、熱が伝わってくるとてもまとまった演奏で、客のほうもいつもより興奮し、曲が終わると同時にすごい拍手が沸き起こったのを覚えています。
 → 当時のブログはこちら(2011年11月)

その山田和樹氏が、この1月から「山田和樹 マーラー・ツィクルス」というプログラムを始めました。2017年までかけてマーラーの交響曲を総なめにするという巨大プロジェクトです。毎回、武満徹氏の曲がマーラーの前に演奏されるのも特徴的です。

この第1回の演奏会に出かけてきました!渋谷にあるBunkamuraオーチャードホールでの開催でしたが、久々に渋谷に降り立ってすぐ、メインの交差点の周囲にあるいくつもの電光掲示板の光と音にくらくらしました。こういう音を聞きにきたんじゃないス…。

会場に着くと、タップリのチラシをもらいました。もともと持っていた荷物と同じぐらいの重さがありました…。その中には、山田和樹氏をフランスまで応援に行くというJTBのツアーカタログも!若い指揮者は(きっと特におばさま方に)モテモテなんでしょう。サインや交流会への参加などのサービスもしなくてはならないだろうし、有能な指揮者ってのも大変だなぁ…。

席は1階の端っこで、若干ビオラの音が大きく(チェロでなくビオラが客席側だった)聞こえる位置でした。
まずは、武満氏の「オリオンとプレアデス」。曲名を考えずに、なんだか不安になるような和音だと思いながら聞いていたのですが、”宇宙的”な音だったらしいです。宇宙とか星とかいったもののイメージは、確かにちょっと不協和音が似合う気がします。
和音はともかく、チェロのソリストの技術がすごく高いと感じました。素晴らしい!山田氏からご家族が見に来ていると紹介され、ちょっと照れているような雰囲気でした。ブラボー!

この曲が終わった時点で感じたのは、山田和樹氏ももちろん素晴らしいのだろうけれど、日本のこのオーケストラのクオリティが、そもそもストラスブールより高いらしいということでした。普通にうまい。ウィーンでも感じたのですが、最高のオーケストラは、指揮者のほしい理想的な音色を奏でることができる、だから指揮者の良さがより引き立つのではないかと思います。後半がより楽しみになりました。

休憩をはさんで、いよいよマーラー、交響曲第1番が始まりました。1時間近くもある大曲ですが、時間はあまり長くは感じませんでした。特に最終楽章は、管楽器に加えて弦楽器の唸るような音がびりびりと伝わってきて、全身に音楽が刺さってくるかのようでした。感動しました!

曲が終わると、我慢してましたと言わんばかりのタイミングで、あちこちから「ブラボー!!!」という声と割れんばかりの拍手が起こりました。指揮者、オーケストラとも「よし!やり切った」という様子で、満足げでした。とても表現できないんですが、360度の音楽の渦に包まれた感じで、本当に良かったんです。やっぱり山田和樹氏はすごかったです…!

今年の残り2回は行けないけれど、また来年、チケットを確保したいです。今回の演奏会のCDが出たら、買ってしまうかも!?


【演奏会情報】
山田和樹 マーラー・ツィクルス

《第1期》創生
第1回 2015/1/24(土)15:00、Bunkamuraオーチャードホール
・武満 徹 :オリオンとプレアデス*
・マーラー:交響曲 第1番 ニ長調「巨人」※ハンブルク稿
   *チェロ:菊地知也

指揮:山田和樹
管弦楽:日本フィルハーモニー交響楽団 http://www.japanphil.or.jp/

(関連ブログ)
山田和樹 マーラー・ツィクルス(第5回) / 山田和樹 マーラー・ツィクルス(第1回) / 日本人指揮者がやって来た

nice!(1)  コメント(2) 
共通テーマ:音楽

nice! 1

コメント 2

サンフランシスコ人

2017年04月 山田和樹がヒューストン交響楽団に客演....

http://www.houstonsymphony.org/tickets/production/detail?id=7346

Program
Charbrier: España
Castelnuovo-Tedesco: Cello Concerto
Falla: The Three-Cornered Hat (complete)
by サンフランシスコ人 (2016-02-28 06:34) 

サンフランシスコ人

2018年 山田和樹がシアトル交響楽団に客演...

http://www.seattlesymphony.org/concerttickets/calendar/2017-2018/symphony/sub22
by サンフランシスコ人 (2017-07-02 06:08) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。