2015フランス旅行 その17 サンテミリオン(St-Emilion) [バカンス]
2015年のフランス旅行記事の続きです。今日はいよいよ最後の地、サンテミリオン(St-Emilion)です。
→ 2015年フランス旅行記事一覧はこちら
この日、私はボルドーの駅前のホテルに泊まっていたので、朝8時ごろに出発する列車でサンテミリオンに向かいました。
サンテミリオンといえば、ワインの産地として有名です。この日は9月の第3日曜で、ちょうどブドウの収穫宣言が行われるワイン祭の日でした(Jurade)。ガイドブックによると、6月にもワイン祭があって、そちらはブドウの開花宣言をするものだとか。ワインのお祭りを年に2度も行うことからも、サンテミリオンがワインを大切にしていることがわかります。
この町の歴史は、8世紀に修行僧だった聖エミリオンが洞窟を掘って隠遁生活を送ったところから始まったようです。ボルドーからサンテミリオンまでは、電車で40分ほどだったと思いますが、大きな町を離れるとあっという間に田園風景になり、サンテミリオン駅に降りても特に矢印があるでもなく、いったいどちらに町があるのかわかりませんでした。(ざっくり書いておくと、駅を背に、右に進んでゆったり坂をのぼっていくと着きました)
駅からブドウ畑を見ながら暫く歩くと、いよいよ町が見えてきました。でも、さすがは日曜日、お祭りの日だとは思えないぐらい、静かでした。日本だったら、お祭りの日は大はしゃぎですが、そんな雰囲気はありませんでした。後ほどお祭りの重要な場所となる塔Tour du Royもまた準備ができておらず、フランスらしくマイペースでした。
このあたりからの町のパノラマです。いい天気で、お祭りへの期待も高まります!
小ぢんまりした町なので、ほどなく鐘塔が印象に残るモノリス教会(Eglise Monolith)につきました。ここは、聖エミリオンの死後に、弟子たちが一枚岩をくりぬいて造ったといわれる教会です(上の塔は別のようです)。通常、ガイド付きツアーでのみ訪れることができるそうですが、特別な日だからか、いつも一部は見られるのか、この日は庵などには入れないものの教会部分には入ることができました。夏のまぶしい日差しとは対照的に、中は薄暗くひんやりしていて、瞑想にはもってこいの場所になっていました。
モノリス教会の塔の下のテラスからは町を一望することができました。いい天気でした。
でも、まずは坂を上ってコレジアル教会に向かいます。(下の教会の写真は朝ではなく午後にとったもの)
何も考えていなかったのですが、しばらくすると、バグパイプ演奏の一団と旗をふる騎士団のようないでたちの若者たち、それに赤いマントと赤い帽子の集団がやってきました。アジア人、肌の白い人、黒い人など、多種多様なメンバーで構成された赤い装束の一団は、教会の前で帽子を脱ぎ、次々と中に入っていきました。これから儀式のようです。
赤い人々に続いて、さらにドレスアップした人々がどんどん教会に吸い込まれていき、厳かに儀式が始まりました。
暫く教会の中を覗いていましたが、途中で切り上げ、コレジアル教会近辺から発車する観光用の小さい列車プチ・トラン(Petit Train)に乗ることにしました。町の中ではなく、ブドウ畑の間を走り、町の外をぐるりと一周する列車で、希望する人は途中でワインのシャトーも見学することができます。歩くにはきつい距離を楽に回れ、素敵な風景を満喫できるのでおススメです。
広大なブドウ畑に対し、町が本当に小さく見えました。
いつもここなのか、この日はここだったのか、停車したワイナリーはシャトー・ロシュベル(Château Rochebelle)でした。私の乗った列車では、全員がシャトーで降り、ワインの樽や瓶詰されたワインが寝かせてあるカーブのガイドツアーに参加し(英語・フランス語でした)、その後、軽く試飲もさせてもらえました。購入希望の人は、ここで買うこともできました。
お祭りの日はやはり収穫時期なのでしょう、畑では黒っぽく色づいたブドウがたわわに稔っていました。このままでもおいしそうです。
またプチ・トランに乗り込んで町に戻ると、人が増えていました。まだお祭りの山場には早いみたいだったので、まずは先ほど儀式が行われていたコレジアル教会の内部を見学し、町を散策し、昼食をとることにしました。この時入ったレストランはLes Giron'Dinesで、何も調べずに入ったけれど、雰囲気もよく、思いのほかおいしい料理をいただけました(カモもタラもとっても美味でした!)。
ランチの後は、ブドウ畑の散策(近場だけ)です。サンテミリオンでは、町の中心部を離れるとすぐシャトーのブドウ畑が広がっていますが、大きな門と塀で囲ってしっかり管理してあるところが多く、畑が遠くに感じられました。かつて住んでいたアルザスでは囲いのあるところはほとんどなかったので、想像していた風景とは少し違っていましたが、石の塀もまた味があって、爽快な風景だと思いました。
本当は、せっかく来たのでどこかのシャトーで味見しつつワインを買ってみたかったのですが、予約が必要なところが多く、また、予約不要とあったシャトーには断られてしまったので、お土産のワインは町中のお店Sts Martinで買いました。生産者の顔は見えないものの種類が豊富で、明るく対応してくれて、さらに日本への配送も慣れていたので、この店での買い物で十分満足でした。
なお、サンテミリオンではヤマト運輸のシールが貼ってあるワインショップを結構見かけたので、日本への配送も問題なくできるところが多いと思います。ただ、直接ではなく一旦パリに集約されるようで、パリまでのお代に加えてパリから日本までのお代が乗っかって、送料が結構高くつきました。
ワインを送って、名物のマカロン(クリームのないタイプ)を買い込んだころ、ついにお祭りは終盤へ…。少々ダラケ気味だったバグパイプ一団が準備に取り掛かり、ついに行進が始まりました。
バグパイプ演奏の一団、旗振りの若人、赤装束の順で関係者が町を歩き、一団が目の前を過ぎると観光客がその列についていくという具合で、細い道は次第に混雑していきます。終着点はTour du Royなので、私たちは道端で彼らを見送った後、モノリス教会のテラスに場所を移してお祭りを見物することにしました。
行列がTour du Royにたどり着くと、バグパイプ、旗振りの一団は塔の下で演奏とパフォーマンス(旗を回したり振ったり投げ上げたり)を続け、その間に、赤装束の人たちが塔のてっぺんに上がっていきました。この時には、朝にはなかった大きな垂れ幕が塔にかかっていました。
塔のてっぺんに全員が上がってひと段落すると、赤い装束の1人が宣言を始めます。結構長いですが、音楽も服装も中世そのもので、何だかジーンときました。
宣言の終わりには、ブドウ型の風船が放たれました。塔の脇に風船を持った子供たちが潜んでいたようです。ふわふわと空に上っていくブドウ(風船)が、この年のブドウの豊作を約束しているようでした。
こうして、長いような短いようなサンテミリオンでの一日は終わりました。中世の趣をとどめたままの町で行われる伝統行事は、とても厳かで感動的だったと思います。一度は見る価値ありです。
私はこの日のうちに列車でボルドーに戻り、翌朝、帰国の途につきました。サンテミリオンからの帰り際、ふと振り返ると、塔にかかっていた赤い垂れ幕がさっさと片づけられ始めていて、苦笑しました。さすがフランス。
長くかかりましたが、2015年の旅は、これで終了としたいと思います。
近いうちに、2017年フランスの旅、をアップするかも??
* サンテミリオンは、1999年、「サンテミリオン地区」として世界遺産に登録されています。
2015年フランス旅行記事一覧
その1 序章 / その2 アルザスワイン街道(Eguisheim) / その3 アルザスワイン街道(Kaysersberg) / その4 アルザスワイン街道 / その5 アルザスワイン街道(Gueberschwihr) / その6 ストラスブール(Strasbourg) / その7 ストラスブール(レストラン) / その8 ストラスブール(公園) / その9 ミディ運河(Canal du midi) / その10 カルカッソンヌⅠ(Carcassonne) / その11 カルカッソンヌⅡ(Carcassonne) / その12 カルカッソンヌⅢ(Carcassonne) / その13 トゥールーズⅠ(Toulouse) / その14 トゥールーズⅡ(Toulouse) / その15 ボルドーⅠ(Bordeaux) / その16 ボルドーⅡ(Bordeaux) / その17 サンテミリオン(St-Emilion)
→ 2015年フランス旅行記事一覧はこちら
この日、私はボルドーの駅前のホテルに泊まっていたので、朝8時ごろに出発する列車でサンテミリオンに向かいました。
サンテミリオンといえば、ワインの産地として有名です。この日は9月の第3日曜で、ちょうどブドウの収穫宣言が行われるワイン祭の日でした(Jurade)。ガイドブックによると、6月にもワイン祭があって、そちらはブドウの開花宣言をするものだとか。ワインのお祭りを年に2度も行うことからも、サンテミリオンがワインを大切にしていることがわかります。
この町の歴史は、8世紀に修行僧だった聖エミリオンが洞窟を掘って隠遁生活を送ったところから始まったようです。ボルドーからサンテミリオンまでは、電車で40分ほどだったと思いますが、大きな町を離れるとあっという間に田園風景になり、サンテミリオン駅に降りても特に矢印があるでもなく、いったいどちらに町があるのかわかりませんでした。(ざっくり書いておくと、駅を背に、右に進んでゆったり坂をのぼっていくと着きました)
駅からブドウ畑を見ながら暫く歩くと、いよいよ町が見えてきました。でも、さすがは日曜日、お祭りの日だとは思えないぐらい、静かでした。日本だったら、お祭りの日は大はしゃぎですが、そんな雰囲気はありませんでした。後ほどお祭りの重要な場所となる塔Tour du Royもまた準備ができておらず、フランスらしくマイペースでした。
このあたりからの町のパノラマです。いい天気で、お祭りへの期待も高まります!
小ぢんまりした町なので、ほどなく鐘塔が印象に残るモノリス教会(Eglise Monolith)につきました。ここは、聖エミリオンの死後に、弟子たちが一枚岩をくりぬいて造ったといわれる教会です(上の塔は別のようです)。通常、ガイド付きツアーでのみ訪れることができるそうですが、特別な日だからか、いつも一部は見られるのか、この日は庵などには入れないものの教会部分には入ることができました。夏のまぶしい日差しとは対照的に、中は薄暗くひんやりしていて、瞑想にはもってこいの場所になっていました。
モノリス教会の塔の下のテラスからは町を一望することができました。いい天気でした。
でも、まずは坂を上ってコレジアル教会に向かいます。(下の教会の写真は朝ではなく午後にとったもの)
何も考えていなかったのですが、しばらくすると、バグパイプ演奏の一団と旗をふる騎士団のようないでたちの若者たち、それに赤いマントと赤い帽子の集団がやってきました。アジア人、肌の白い人、黒い人など、多種多様なメンバーで構成された赤い装束の一団は、教会の前で帽子を脱ぎ、次々と中に入っていきました。これから儀式のようです。
赤い人々に続いて、さらにドレスアップした人々がどんどん教会に吸い込まれていき、厳かに儀式が始まりました。
暫く教会の中を覗いていましたが、途中で切り上げ、コレジアル教会近辺から発車する観光用の小さい列車プチ・トラン(Petit Train)に乗ることにしました。町の中ではなく、ブドウ畑の間を走り、町の外をぐるりと一周する列車で、希望する人は途中でワインのシャトーも見学することができます。歩くにはきつい距離を楽に回れ、素敵な風景を満喫できるのでおススメです。
広大なブドウ畑に対し、町が本当に小さく見えました。
いつもここなのか、この日はここだったのか、停車したワイナリーはシャトー・ロシュベル(Château Rochebelle)でした。私の乗った列車では、全員がシャトーで降り、ワインの樽や瓶詰されたワインが寝かせてあるカーブのガイドツアーに参加し(英語・フランス語でした)、その後、軽く試飲もさせてもらえました。購入希望の人は、ここで買うこともできました。
お祭りの日はやはり収穫時期なのでしょう、畑では黒っぽく色づいたブドウがたわわに稔っていました。このままでもおいしそうです。
またプチ・トランに乗り込んで町に戻ると、人が増えていました。まだお祭りの山場には早いみたいだったので、まずは先ほど儀式が行われていたコレジアル教会の内部を見学し、町を散策し、昼食をとることにしました。この時入ったレストランはLes Giron'Dinesで、何も調べずに入ったけれど、雰囲気もよく、思いのほかおいしい料理をいただけました(カモもタラもとっても美味でした!)。
ランチの後は、ブドウ畑の散策(近場だけ)です。サンテミリオンでは、町の中心部を離れるとすぐシャトーのブドウ畑が広がっていますが、大きな門と塀で囲ってしっかり管理してあるところが多く、畑が遠くに感じられました。かつて住んでいたアルザスでは囲いのあるところはほとんどなかったので、想像していた風景とは少し違っていましたが、石の塀もまた味があって、爽快な風景だと思いました。
本当は、せっかく来たのでどこかのシャトーで味見しつつワインを買ってみたかったのですが、予約が必要なところが多く、また、予約不要とあったシャトーには断られてしまったので、お土産のワインは町中のお店Sts Martinで買いました。生産者の顔は見えないものの種類が豊富で、明るく対応してくれて、さらに日本への配送も慣れていたので、この店での買い物で十分満足でした。
なお、サンテミリオンではヤマト運輸のシールが貼ってあるワインショップを結構見かけたので、日本への配送も問題なくできるところが多いと思います。ただ、直接ではなく一旦パリに集約されるようで、パリまでのお代に加えてパリから日本までのお代が乗っかって、送料が結構高くつきました。
ワインを送って、名物のマカロン(クリームのないタイプ)を買い込んだころ、ついにお祭りは終盤へ…。少々ダラケ気味だったバグパイプ一団が準備に取り掛かり、ついに行進が始まりました。
バグパイプ演奏の一団、旗振りの若人、赤装束の順で関係者が町を歩き、一団が目の前を過ぎると観光客がその列についていくという具合で、細い道は次第に混雑していきます。終着点はTour du Royなので、私たちは道端で彼らを見送った後、モノリス教会のテラスに場所を移してお祭りを見物することにしました。
行列がTour du Royにたどり着くと、バグパイプ、旗振りの一団は塔の下で演奏とパフォーマンス(旗を回したり振ったり投げ上げたり)を続け、その間に、赤装束の人たちが塔のてっぺんに上がっていきました。この時には、朝にはなかった大きな垂れ幕が塔にかかっていました。
塔のてっぺんに全員が上がってひと段落すると、赤い装束の1人が宣言を始めます。結構長いですが、音楽も服装も中世そのもので、何だかジーンときました。
宣言の終わりには、ブドウ型の風船が放たれました。塔の脇に風船を持った子供たちが潜んでいたようです。ふわふわと空に上っていくブドウ(風船)が、この年のブドウの豊作を約束しているようでした。
こうして、長いような短いようなサンテミリオンでの一日は終わりました。中世の趣をとどめたままの町で行われる伝統行事は、とても厳かで感動的だったと思います。一度は見る価値ありです。
私はこの日のうちに列車でボルドーに戻り、翌朝、帰国の途につきました。サンテミリオンからの帰り際、ふと振り返ると、塔にかかっていた赤い垂れ幕がさっさと片づけられ始めていて、苦笑しました。さすがフランス。
長くかかりましたが、2015年の旅は、これで終了としたいと思います。
近いうちに、2017年フランスの旅、をアップするかも??
* サンテミリオンは、1999年、「サンテミリオン地区」として世界遺産に登録されています。
2015年フランス旅行記事一覧
その1 序章 / その2 アルザスワイン街道(Eguisheim) / その3 アルザスワイン街道(Kaysersberg) / その4 アルザスワイン街道 / その5 アルザスワイン街道(Gueberschwihr) / その6 ストラスブール(Strasbourg) / その7 ストラスブール(レストラン) / その8 ストラスブール(公園) / その9 ミディ運河(Canal du midi) / その10 カルカッソンヌⅠ(Carcassonne) / その11 カルカッソンヌⅡ(Carcassonne) / その12 カルカッソンヌⅢ(Carcassonne) / その13 トゥールーズⅠ(Toulouse) / その14 トゥールーズⅡ(Toulouse) / その15 ボルドーⅠ(Bordeaux) / その16 ボルドーⅡ(Bordeaux) / その17 サンテミリオン(St-Emilion)
さらっと書かれていますが、一枚岩をくりぬいて造ったという教会がすごいですね。
by YAP (2017-09-26 08:25)