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異邦人(カミュ) [フランス語]

先日、列車でバーゼルに出かけました。列車TERで片道約1時間20分、往復で2時間半以上もあるので、移動時間に薄い日本語の本を読もうと思い立ち、カミュの「異邦人」(日本語)を持っていきました。

この本の原題は「L’Etranger」、フランス語です。感情があまり表に出てこない主人公の物語であるせいか、和訳のせいなのか、すべてが夢の中で語られているような浮世離れした物語のように思えました。

ところで、このL’Etranger、私はフランス語の学校で以前原文の冒頭部分にお目にかかったことがあります。冒頭はこうです。

Aujourd’hui, maman est morte. Ou peut-être hier, je ne sais pas. J’ai reçu un télégramme de l’asile : « Mère décédée. Enterrement demain. Sentiments distingués. » Cela ne veut rien dire. C’était peut-être hier. ...

今日、ママンが死んだ。もしかすると、昨日かもしれないが、私にはわからない。養老院から電報をもらった。「ハハウエノシヲイタム、マイソウアス」これでは何もわからない。恐らく昨日だったのだろう。・・・ (新潮文庫「異邦人」(カミュ)、窪田啓作訳)

まさにEtranger(s)(この場合は「外国人」の意味)である生徒たちに、先生は文学を教えようとした・・・のではなく、文法的に複合過去(Passé conposé)や半過去(imparfait)を学ぶのに都合が良かったらしく、下記のような形になった問題を渡されたのでした。

Aujourd’hui, maman _____ (mourir) . Ou peut-être hier, je ne _____ (savoir) pas. J’_____ (recevoir) un télégramme. ...

思い出はさておき、この本の最後の解説では、カミュの生い立ちに触れていました。それによると、この本を書いたアルベール・カミュはアルジェ生まれですが、お父さんはフランス・アルザスの出身で、もともとはワイン関係の仕事をしていたそうです。思いがけないところで、ノーベル賞をとった文豪とこの地域の繋がりを知ったのでした。日本で活躍するセイン・カミュ氏が親戚だということだけは知っていたんですけどねー・・・。

(今日のフランス語)  étranger  外国人、よそ者、部外者 (英語の"Stranger"にあたる)

異邦人 (新潮文庫)

異邦人 (新潮文庫)

  • 作者: カミュ
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1954/09
  • メディア: 文庫
L'Etranger (Collection Folio, 2)

L'Etranger (Collection Folio, 2) ←フランス語版

  • 作者: Albert Camus
  • 出版社/メーカー: Gallimard
  • 発売日: 1990/10
  • メディア: マスマーケット

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